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「早稲田文学」および「WB」の刊行遅延と
一部風説について


「早稲田文学」および「WB」の刊行が遅延している件につきまして、読者や著者をはじめとする関係各位の皆様に、多大なるご心配や不利益をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。
 この件に関しまして、経緯等のご説明をいたします。
 
 2018年7月27日、早稲田大学が、セクシャル・ハラスメント行為を理由に渡部直己教授を解任しました。
 「教員の解任について」
 
 渡部直己氏のセクシャル・ハラスメント行為は、小誌にとっても、大変遺憾であり残念です。解任事由として挙げられたハラスメント行為は、指導教員という立場や地位に基づいてなされた、極めて不適切なものです。被害に遭われた方の救済を願うとともに、再発防止のための対応が取られていくことを切に願います。
 この件をめぐって、小誌が直接関係しているような言説が、Webを中心に散見されてきました。
 小誌では、昨年4月発売の「2018年初夏号」でジャン・リカルドゥーの長編評論の翻訳連載を開始、その評注を手がけた同氏も含んだ写真を表紙に使用していました。起用自体は、今回の事件と無関係に、連載を期になされたものでしたが、しかしながら結果的に解任に至る時期のこととして不適切な印象を伴う結果になったことを、とても遺憾に思います。

 本件をめぐっては、二次ハラスメントに関しても大学による調査が行われ、その概要は、昨年9月21日付けで、早稲田大学のWebサイトにて公開されています。
 「調査結果および本学の対応について」
 調査結果では、一部で疑われた組織的隠蔽や口止めなど、二次ハラスメントの訴えについては、認定をされていません。ただ、ハラスメント防止室の対応に配慮を欠く点があったことや、2名の教員について、被害者に対する配慮や適切性を欠いた言動が一部あったともされていました。再発防止措置と啓発活動が適切に行われ、今後このような事案が起こらないことを切に望みます。

 上記をめぐって、初期のWeb記事で「文芸誌『早稲田文学』の制作に携わっている」教員の二次ハラスメント疑惑に関する記述があり、それをきっかけに、本件に小誌も関係しているという印象を前提とした事実無根の風説(たとえば、本誌編集とは無関係な渡部氏ほか特定の人物が編集権限を私的に濫用している、「早稲田文学増刊 女性号」において明示している責任編集者とは異なる男性が制作を主導していた、などといった言説)が、Web上を中心に見受けられるようになりました。
 当然ながら、そのような事実は一切ありません。
 小誌編集室では、上記記事の書かれた直後から、制作に携わる複数教員に事情を確認し、記事には事実と異なる点があること、特に口止めとされる行為に関しては事実誤認であることなどの明確な説明を得るとともに、小誌をめぐる事実と異なる風説等に関してと、小誌の実際の状況について、公に説明する時期と手段を検討しておりました。

 このような経緯のもと、小誌は声明の発表を準備していました。
 ただ、教員らを対象にした調査と発表までの期間は、本ハラスメント案件にかかわる具体的な発言を控えるようにとの大学から教職員への要請が行われており、また、調査結果発表後も、渡部直己氏を表紙とした号の流通に関する検討の要請や、本ハラスメント案件の生じた大学院および学部のコース・論系との関係等をめぐる改善案の要求等があり、それが発行元である学術院教授会に受理されるまでの期間、新しい号の制作、刊行に移れない状態が続きました。

 大学Webサイトにて昨年9月21日付けで公開された先の調査結果の概要には、小誌に関する言及はありませんが、調査においては、前記の記事や風説等をもとに本誌の編集・制作過程についても、聞き取りと調査が行われ、不正のないことが確認されています。また、小誌編集室としても、そのような不正は一切ありません。
 小誌からの改善案も適切に受理され、現在、刊行再開に向けて企画を進めています。

 長期の空白期間によって、読者や著者、学外編集委員をはじめとする関係各位の皆様に、多大なるご心配や不利益をおかけしてしまいました。
 発行権が文学学術院教授会にあり、かつ、状況を踏まえた慎重な振る舞いと発言が求められていた状況下で、それに準じて参りましたが、結果として生じた関係各位の皆様の不利益を考えれば、編集部として、より早く声明を出すべきでした。反省とともに深くお詫び申し上げます。


 早稲田文学は、常に公器たる文芸雑誌としての編集・発行を心がけて参りました。今後も、これまで以上に弱い立場の人々や社会の多様性への感覚をさらに繊細かつ鋭敏にはぐくみながら、内外の御意見をいただきつつ、開かれた文芸誌として活動してゆく所存です。


2019年3月15日
早稲田文学編集室

 

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