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Yahoo!JAPAN東日本震災チャリティ・オークション出品中 玉川重機『草子ブックガイド』幻の第1話直筆ネームについての、玉川さんからの手紙

 早稲田文学では、震災チャリティ企画のひとつとして2012年2月1日から8日まで、玉川重機さんの名作読書コミック『草子ブックガイド』の幻の第1話の直筆ネーム(絵コンテ)を、玉川さんと講談社「週刊モーニング」編集部のご協力により、Yahoo!JAPAN東日本震災チャリティ・オークションに出品しています(落札金額は全額、(社)中央共同募金会に寄付され、被災地ボランティアの活動資金に用いられます)。出品にあたり、ネームの成立について玉川さんから入札者のみなさまあてに届いた手紙を、下記に公開いたします。どうぞご高覧のうえ、こぞってご入札ください。


草子ブックガイド48P版の事

 あれは玉川が30代前半の頃の事です。日記によると「2001年」となっています。
 次の連載が、なかなか取れず派遣で日雇いのバイトをしながら漫画の持ち込みをしていました。その派遣仕事で特に多くいただいたのが、「図書物搬入」の仕事でした。
 大学や図書館の本を移動させる仕事でしたが、一番思い出深いのが、台東区図書館への搬入仕事でした。閉鎖される図書館や廃校になる学校図書館、台東区中の行き場のなくなった本達を新しくできる台東区図書館に移動させるのですが、その大量の本達には一冊一冊、引っ越し先の住所が書かれていたのでした。
 玉川は本が好きで、本達は、いつも当たり前にまわりに居てくれた存在だったのですが、この搬入仕事で、本がそばに居てくれているのは当たり前ではなく、一冊一冊を大切にする人達がいるから自分に本が届いてくれる事を知りました。そして、人にとって「本」とは何だろうと思ったのでした。
 なぜ、人は、こんなにも、「本」を大切にし愛するのか。
 この時の気持ちがきっかけとなり、機会ある事に、本を題材にした漫画のネーム(絵コンテ)を描きました。しかし、描いてはボツの繰り返しでした。そして、最終的に出来上がったのが「草子ブックガイド」でした。

 48Pのこのネームが完成したのは日記に「2008年」と書いてあります。
 本のお引っ越し仕事から8年ほどの月日が流れていました。この「草子ブックガイド」が出来た時、一緒に作ってくださった担当さんが「どこにもない不思議な漫画が出来ましたね」と、おっしゃってくださったのが嬉しかったです。
 その後、このネームは面白いけれど、その雑誌の色に向いてないから、申し訳ないが掲載は出来ないと言われました。残念でしたが、やりきったネームだったのでそんなに落ち込まなかったのを覚えています。そして、一緒に草子を作ってくれた担当さんには感謝の気持ちしかなく、なんだかハレヤカな心持ちでした。
 しかし、「もうこれ以上の漫画は今の玉川には産めないなあ」と思ったので、新しい血を入れるために、そして生活をたてなおす意味もかねてパン工場で働く事にしました。深夜の仕事だったので昼は漫画を描いたり持ち込みしたりしようと思っていました。「草子ブックガイド」のネームは長くお付き合いのあった、そしてお世話にもなった別の編集さんに「こんなマンガ出来ました」とお礼もかねて郵送してました。
 パン工場で働いていると、その編集さんから連絡があって、「このネームを掲載に向けて一緒にがんばりませんか?」と、おっしゃってくださったのでした。
 そして、雑誌に掲載しやすいように8P削り40Pにしたのが「草子ブックガイド」の1冊(話)目です。

 削った8Pには後に出て来る司書教諭の原形となる人が登場します。また、エピソードの位置も前後していたりします。そしてネームばかり描いていて原稿を描く機会がなかったので、ここぞとばかりにミッチリ、絵コンテなのに絵が下書きなみに入っています。

 玉川は、ずっとネームをきってきて、どのネームにもその時その時の思い入れや思い出があるのですが、特にこの48P版の「草子ブックガイド」のネームには思い入れがあります。
 遠くの図書館に底本になった冨山房版の「ロビンソン漂流記」を探しに行って、見つけて、表紙をカラーコピーした時の宝物にふれたみたいな興奮。
 この物語を、「草子ブックガイド」を作りあげるために読ませてもらった仲間のような本達。
 図書館の司書さんや古本屋さん、書店員さん達の、何者かもわからない玉川への、あたたかい笑顔。
 2001年、本への思いに気付いた時の、あの空の青さ。
 色んな思いが、このネームの48Pに詰まっています。

 「草子ブックガイド48P版」、楽しんでいただけたら、こんなに嬉しいことはありません。
玉川重機
 なお、上記チャリティ・オークションでは、「女性作家9人と本人のサイン入り阿部和重対談集『和子の部屋』(全5点中、最後の1点)」と、「古川日出男サイン入り限定「ベルカ」Tシャツ」をそれぞれ、同時期に出品しています。どうぞそちらもご覧ください。オークションにはこちらからご参加いただけます。

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